日本脳炎ワクチン供給不足への対応
最初にまとめ

『接種期限間近』とは接種期限まで6ヶ月以内
供給不足について
2020年に日本脳炎ワクチンの生産ラインの一部が停止したため、2021年は「需要>供給」となることが判明しました。年間で見ると2021年は2020年の概ね-20%の供給となる見込みです。したがって通常通りに接種を行った場合接種を受けられなくなる方がおられます。
この事態を受けて厚生労働省は下記のような通達を出しました。
厚労省「乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンの定期の予防接種に係る対応について」2021/1/15
趣旨は以下の通りです。
あしやサニークリニック内科はこの通達を遵守し対応します。
接種期間について
日本脳炎の接種スケジュールを簡単に解説します
日本脳炎ワクチンの接種スケジュールは1期と2期に分けられ、1期はさらに1期初回と1期追加に分けられます。
定期接種としての接種期間は1期が6ヶ月〜7歳6ヶ月未満、2期が9歳〜13歳未満です。
接種期間のうちで免疫学的な理由などで望ましいとされる接種時期を標準的接種年齢といい、1期初回は3歳時、1期追加は4歳時、2期は9歳時が該当します。

今回の不足に伴い、接種期限間近に対する配慮が求められており、ここでは便宜上1期・2期各々の 接種期限前6ヶ月間を「接種期限間近」としています。

対応
受付けについて
通常接種
特例措置
厚労省の通達には定期接種期限間近ではない1期追加や2期への対処は明記されていません。クリニックよっては1期追加、2期は受付しないところもあるかと思われますが、20%の減産で1期追加・2期共に受付しないのは接種機会を無用に奪いかねません。
適切な対処に必要な判断材料を 国立感染症研究所のデータが与えてくれます。
下のグラフは年齢と接種回数で層別化し、各々の抗体価の分布を示しています。なお、抗体価が10倍未満、すなわちグラフの青の部分は日本脳炎に対する防御が不十分です。

上のグラフは1期追加接種予定者だけではありませんが、1期接種期間を含む0〜9歳のグループで10倍未満がそれなりにあることがわかります。

こちらのグラフは2期接種予定者相当のグラフです。2期接種期間を含む5〜14歳のグループで10倍未満は少なく、特に 1〜2回接種者と比べるとかなり少ないことが分かります。
以上より1期追加は可及的に接種するべきと考えられ、1期追加は受付けます。
なお、特例措置については対象者の最小年齢が13歳で、2つのグラフいずれでも抗体価が10倍未満は認めないため1期追加・2期とも接種期限間近のみ受付けます。