口唇ヘルペス

口唇ヘルペスは唇や口の周りにうずきや痛みを伴うポツポツとした皮疹ができる疾患です。日常的に見かけ、単に「ヘルペス」と言われた方がわかりやすいかも知れません。本症について感染ルート、症状、治療などをわかりやすく解説します。

最初にまとめ

  • 様々な病態を示す単純ヘルペスのうちの一病型です
  • くちびるあたりにポツポツを生じます
  • 単純ヘルペスウイルス感染症で、成人の半数近くが感染状態です
  • 何かしらのきっかけでウイルスが再活性化して発症します
  • 治療は塗り薬、飲み薬、点滴などを病状によって使い分けます

ウイルス感染症です

そこら中の人が感染しているウイルスによる感染症です

単純ヘルペスウイルス自体はそこら中の人が感染していると言っていいウイルスです。 日本皮膚科学会によればかつては思春期までにほとんどがの人が感染していたと言われていますが現在の抗体保有率は2人に1人程度のようです。

単純ヘルペスウイルスには主に上半身に悪さをする1型(HSV-1)と下半身に悪さをする2型(HSV-2)の2種類があり、口唇ヘルペスの原因になるのはHSV-1です。

ポイント

  • 幼児期に家族から唾液を介して感染します
  • 感染すると神経節という神経組織に潜伏します
  • 潜伏したウイルスはきっかけがあると再活性化して症状をもたらすようになります

症状

唇のポツポツが典型的です

初感染時は多くの場合無症状で、再活性化時に唇に複数の小水疱を認めます。

唇や口腔側の粘膜、あるいは唇周囲の皮膚に小水疱を複数生じます。違和感や痛みが先行した後に皮疹が出現することがあります。

水疱はしばしば破れ、口腔粘膜では口内炎のようになることがあります。

治療

病状によって適切なものを選びます

外用療法

しばしば使用されます

  • アシクロビル
  • ビダラビン

内服療法

本症の治療の基本です

  • アシクロビル
  • バラシクロビル
  • ファムシクロビル
もう少し詳しく

アシクロビル

かつて単純ヘルペスウイルスや水痘・帯状疱疹ウイルスに対する基本的な治療薬でした。

内服したうち体内に取り込まれて活性を示す生体利用率が低いという欠点があります。

バラシクロビル

体内に取り込まれて代謝されてアシクロビルになるプロドラッグで、アシクロビルの生体利用率の低さを改善したものです。

ファムシクロビル

頻繁に(概ね年3回以上)繰り返す再発性単純疱疹(口唇ヘルペス・性器ヘルペスとも)において、一定の要件を満たす未発症の患者さんに処方が可能です。