百日咳

長引く咳や発作的な咳が気になるときは、百日咳の可能性も。芦屋市の小児診療で診断・登園対応を行っています。

最初にまとめ

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  • 百日咳菌による特徴的な咳発作を伴う感染症です
  • しつこい発作性の咳が続き、時に咳き込んだ後息を吸う時に「ヒュー」というような特徴的な呼吸音を伴います
  • 年少児(特に乳児)で重症化リスクは高く、ワクチン施行前の死亡率は10%でした
  • 即座に診断できる検査はなく、病初期の臨床診断が難しい感染症です。

目次

感染

咳やくしゃみにより飛沫感染や接触感染します。
感染力は非常に高く、1人の感染者は16〜21人にうつし得ると推計されます。
1950年に百日咳ワクチンが使用可能になる以前は年間約10,000人が百日咳で死亡していたのです。

現在は乳児期から定期接種として百日咳ワクチンの接種が行われているため死亡例こそ激減していますが、サーベイランスによれば百日咳ワクチンの効果が減弱する年代ではそれなりの感染数が報告されています。
また、成人の遷延性咳嗽の10%ほどが百日咳だという見解もあります。

ポイント

  • 咳やくしゃみにより飛沫感染や接触感染します
  • 周囲を感染させるリスクは3週間ほど続くと言われています
  • 年少者に多い感染症ですが、成人がかかることもあります
  • 近年小学校高学年で増えてきている兆候があります

症状

長い経過が特徴的で、7〜10日ほどの潜伏期間を経て、以下のような経過を順にたどります。

①カタル期(約2週間)

  • 感冒症状、すなわちいわゆる風邪症状が主体です
  • 経過とともに咳が増えていきます

②痙咳期(約2〜3週間)

  • 短い咳(スタッカート)の反復(レプリーゼ)
  • 咳に続く笛のような吸気音(ウーピング)
  • 咳に伴う嘔吐
  • 時に無呼吸発作
咳をしている子ども

③回復期(約2〜3週間)

  • 発作性の咳の頻度が減っていきます

なお、発熱はあっても軽度にとどまります。
しつこい咳が悩ましい感染症ですが、重症化リスクは多くの年代にとってそれほど問題になりません。
一方乳児では重症化により肺炎・脳症などを合併し、死亡に至ることもある重大な感染症で、ワクチン実施前は死亡率が10%にも達していました。

検査・診断

百日咳は長引くしつこい咳が特徴ですが、発熱が乏しいこともあり

  • 感染後咳嗽
  • 咳喘息
  • アトピー咳嗽

といった咳を主徴とする疾患との鑑別にしばしば苦慮します。
またワクチン既接種児や成人では痙咳期になっても特徴的な症状を欠くことも診断を難しくする要因です。

診断は特徴的な症状に基づく臨床的診断と、百日咳の急性感染を示す検査による検査診断があります。

臨床的診断

  • 咳(1歳以上は1週間以上続く咳)

かつ、以下のいずれか1つを伴う

  • 発作性の連続性の咳欧
  • 吸気性笛声(whooping)
  • 咳嗽後の嘔吐
  • 無呼吸発作(チアノーゼの有無は問わない)

検査診断

  • 抗原検査
  • 遺伝子検査:LAMP法(後鼻腔ぬぐい液)
  • 血清学的診断:抗PT-IgG、抗百日咳菌IgA,IgM
  • 菌培養:百日咳菌同定

治療

百日咳菌にはマクロライド系抗生物質が第一選択である他、ニューキノロン系薬・テトラサイクリン系薬などが有効です。
カタル期に抗菌療法を開始すると痙咳期の短縮に寄与できるとされていますが、カタル期の確定診断は難しいが悩ましいところです。

ポイント

生後6ヶ月未満

  • アジスロマイシン

生後6ヶ月以降

  • エリスロマイシン
  • クラリスロマイシン

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