手足口病|子どもに多い夏のウイルス感染症
乳幼児を中心に夏に流行するウイルス性の感染症です。手のひら・足の裏・口の中に小さな発疹や水ぶくれが出現し、まれに爪が剥がれることもあります。
ほとんどのケースは自然に治癒しますが、痛みや発熱を伴うこともあり、まれに髄膜炎などの合併症に注意が必要です。
当ページでは、手足口病の症状・経過・ご家庭での対応について詳しく解説します。
最初にまとめ
感染
病原体は、主にコクサッキーウイルスやエンテロウイルスで、シーズンにより異なる血清型が流行し、時に1シーズン中に異なる血清型が流行することもあります。
主な感染経路として、
感染経路
などが知られています。
感染後糞便中には2~4週間ウイルスが排泄されると考えられています。
感染の傾向として、
といった特徴が挙げられます。
症状
3〜5日間ほどの潜伏期間を経て、以下のような症状を認めます。
主な症状
こういった皮膚の症状や粘膜の症状をそれぞれ皮疹・粘膜疹といいます。
皮疹の特徴として、
などが挙げられます。
粘膜疹の特徴としては、
などが挙げられます。
診断
インフルエンザのような迅速検査キットなどはなく、
するのが一般的です。
保育園・幼稚園・学校内、あるいは家庭内での発生状況は有用な情報になります。
成人の感染もあるため、親御さんの「そういえば口内炎があるかも」といった情報が有用な場合もあります。
水疱を形成する点などから、ヘルパンギーナ・水痘(水ぼうそう)・単純疱疹などとの見分けが必要です。
治療
原因ウイルスに対する固有の治療(インフルエンザで言うタミフル®など)はなく、発熱・風邪症状に対する対症療法が中心となります。
多くの場合、皮膚症状に対して治療を要しませんが、必要に応じて消炎剤や抗菌剤の外用療法を行うことがあります。
学校保健安全法による登園・登校の規定
本法による登園・登校停止の規定はなく、解熱していて全身状態良好なら登園・登校は可能です。
FAQ(よくあるご質問)
一般的には3〜7日程度で自然に回復します。発熱は1〜3日で下がることが多く、口内炎や発疹も数日以内に軽快していきます。
ただし、まれに発疹後に爪が剥がれるなどの変化が見られることがあります。
はい感染力が強く、特に家庭内・保育園・幼稚園などでの感染が多い病気です。
手洗い・タオルの共用を避けるなど、接触・飛沫対策が重要です。
本人の症状が治っても、しばらくは便中にウイルスが排出されるため、トイレ後の手洗いも徹底しましょう。
手足口病は、学校保健安全法施行規則で定める「出席停止対象感染症」には含まれていません。
しかし、症状や感染状況により校長判断で出席停止となることはあります。
実際には、発熱や強い口内炎が落ち着き、全身状態が良好であれば登園・登校が可能とされることが多いです。
はい、特に子どもと接する機会の多い大人(保護者・保育士・教員など)にはうつることがあります。
大人が感染すると、重症化(高熱・強いのどの痛み・関節痛)しやすい傾向がありますので注意が必要です。
あります。手足口病の原因となるウイルスは複数の型(コクサッキーA群・エンテロウイルスなど)があり、型が異なれば再感染が起こります。
同じシーズン中に再度かかるケースもまれではありません。
手足口病のあと、数週間後に手足の爪が浮いたり剥がれることがあります。
これは一過性の変化で、痛みもなく自然に治ることがほとんどです。