芦屋市・西宮市・神戸市の感染症情報(10/2)

兵庫県感染症情報センターからリリースされている週報から芦屋市西宮市神戸市の情報をピックアップして集計したものを若干のコメントをつけて配信しています。

2025年8月17日から9月28日までの神戸市・芦屋市・西宮市における感染症報告数の推移を示す折れ線グラフ。右軸はCOVID-19、左軸はその他の感染症。COVID-19は9月中旬に約380件でピークを示した後減少。伝染性紅斑も9月中旬に70件超でピークを示し、その後やや減少。インフルエンザは漸増して60件前後。RSウイルス感染症は9月中旬に70件を超え、その後減少。百日咳は20〜40件程度で推移。咽頭結膜熱は20〜40件で推移し直近やや減少。ヘルパンギーナと手足口病は夏季ピーク後に低下傾向。
  • COVID-19:依然として高水準で183件の報告がありました。前々週から2週連続で減少が続いています。
  • 伝染性紅斑59件と高水準続いており、前週(55件)からはやや増加しました。妊婦への影響にも留意が必要です。
  • インフルエンザ:60件と中等度の水準で、この4週間はほぼ50〜60の間で横ばいです。
  • 百日咳:先週までの4週間は横ばい〜やや減少傾向で推移していましたが、今週は25件で前週(23件)より増加しました。全体として高めの水準での推移が続いています
  • RSウイルス感染症:40件で、前週(49件)から減少がみられます。
  • A群溶連菌咽頭炎:28件で、前週(47件)から大きく減少しました。
  • 咽頭結膜熱:18件で、前週(16件)からわずかに増加しました。
  • ヘルパンギーナ:6件と前週(29件)から大幅に減少し、夏季流行のピークを過ぎた状況です。
  • 手足口病:9件で、前週(21件)から減少が続いています。

目次

COVID-19

2024年11月から2025年10月までのCOVID-19報告数の推移を示す折れ線グラフ。2025年2月前後に一度ピーク(約220件)があり、春から初夏にかけて減少。夏以降に再び急増し、9月中旬に約400件で最大のピークを記録。その後は減少して10月初旬に約180件となっている。

クリニック診療では風邪程度の症状が多いものの、インフルエンザと同程度の辛さを訴える方も珍しくなく、肺炎に至って入院される方もおられます。

最近は「のどの痛み」が目立つ方が多いように思われます。

動向

  • 今週の報告数は 183件 で、前週(236件)から減少しました。
  • 4〜8週の短期的推移では8月下旬から急増し、9月中旬に約400件でピーク、その後は減少に転じています。
  • 中期的には2025年2月にも一時的な流行があり、その後いったん沈静化しましたが、夏以降に再び上昇し今回の高水準につながりました。
  • 過去の経過からは、来週以降もしばらくは高水準を維持しつつ推移する可能性があります。

ご家庭で気をつけたいこと

  • 発熱や咽頭痛、咳などの症状がある場合は、外出や登園・登校を控えたり、人の多い屋内ではマスクを着用するなど、感染拡大防止にご協力下さい
  • 家庭内感染を防ぐため、共用スペースの時間差利用共用スペース利用時のマスク着用換気の励行を心がけましょう。
  • 高齢者や基礎疾患のある方との接触は特に注意してください。

臨床的特徴と受診の目安

  • 潜伏期は平均2〜3日、最長で7日程度とされます。発熱、咽頭痛、咳、倦怠感などの症状が出現します。
  • 現況は公共交通機関といった日常生活での感染も容易に起こり得るものと推定されます。
  • 高齢者、基礎疾患を有する方、妊婦は重症化リスクが高いため、早めの受診が望まれます。
  • 呼吸苦、強い倦怠感などがある場合は速やかに受診してください。

伝染性紅斑(りんご病)

2024年11月から2025年10月までの伝染性紅斑報告数の推移を示す折れ線グラフ。2025年春以降に報告数が増加基調となり、7〜8月にかけて60〜80件前後で推移。9月に一時的な落ち込みがみられるが、その後再び上昇し、10月初旬は60件程度となっている。

伝染性紅斑は、ほっぺたがりんごのように赤くなるのを特徴とする、りんご病の名で知られる感染症です。

動向

  • 今週の報告数は 59件 で、前週(55件)からやや増加しました。
  • 4〜8週の短期的推移では、8月以降60〜80件前後で推移し、安定的に高い水準が続いています
  • 中期的には2025年春以降に一貫した増加傾向を示し、夏以降も流行が持続しています。
  • 妊婦さんに感染した場合、胎児への影響が問題に鳴ることがあるため、引き続き注意が必要です。
  • 今後もしばらくは高水準での推移が続く可能性があります。

ご家庭で気をつけたいこと

  • 頬に赤い発疹が出現するのが典型で、学校や園で集団発生することがあります
  • 発疹が出る頃には感染性は低下していますが、潜伏期(1〜2週間)は感染を広げやすいため注意が必要です。
  • 家族や周囲に妊婦がいる場合は特に感染拡大を防ぐことが重要です

臨床的特徴と受診の目安

  • 発熱や風邪様症状に続いて、頬部の紅斑(平手打ち様発疹)が出現するのが特徴です。四肢にも網目状の発疹が広がります。
  • 発疹出現後は全身状態が比較的良好であることが多いですが、妊婦では胎児感染による重篤な影響(胎児水腫など)が報告されています。
  • 妊娠中に発疹や感染が疑われる場合は、速やかに産婦人科に相談してください

妊婦さんへの感染では胎児への影響が懸念されるため、妊婦さんが感染するのは何としても防ぎたいところですが、伝染性紅斑がうつりやすいのは伝染性紅斑らしさが出る前の時期であるため、妊婦さんは十分な感染対策をなさって下さい

伝染性紅斑とは

別名「りんご病」といい、風邪症状+赤いほっぺたを呈するウイルス感染症です。
5年程度の周期性の流行を認める傾向があり、前回の当地での流行はまさに2019年末〜2020年2月頃でした。

大半の方にとっては大きな問題とならないものですが、合併症に留意が必要な方々がおられます。

合併症

胎児水腫
妊婦の感染を経て胎児が感染すると、胎児の体内に液体貯留しやすくなる胎児水腫という合併症をきたして専門医による管理・治療を要することがあります。
妊婦さんはマスク着用などの感染対策を十分になさって下さい。

骨髄無形成発作
溶血性貧血患者が感染すると、重度の貧血や、赤血球以外の血球減少を伴う汎血球減少症をきたすことがあります。

感染対策

りんご病を特徴づけるのはほっぺたの赤みですが、この症状を呈する時期には既に感染源になる時期を過ぎており、りんご病患者がごく身近で発生してからの対策は後手になります。
肝要なのは生活圏での流行の把握となり、特に妊婦さんは登園中のお子さんがおられましたら登園先の発生状況の把握に努めるなどして、ご自身の生活圏で発生があれば速やかに十分な対策をして下さい。

具体的な対策は飛沫感染対策・接触感染対策となりますので、マスク着用・手洗い励行をお勧め致します。

インフルエンザ

2024年11月から2025年10月までのインフルエンザ報告数の推移を示す折れ線グラフ。2025年1月に急増し、2月初旬に約4,000件でピーク。その後急減し春以降は低水準で推移。直近の9〜10月は30〜60件程度で小幅な増減を繰り返している。

動向

  • 今週の報告数は 60件 で、前週(58件)からわずかに増加しました。
  • 直近4週間ではほぼ横ばいで推移しています。
  • 4〜8週の短期的推移では、低水準ながら30〜60件の範囲で横ばい〜やや増加しています。
  • 中期的には2025年1月〜2月にかけて大規模な流行(ピーク時約4,000件)があり、その後沈静化しました。以降は低水準が続いています。
  • 過去の経過から、来週以降もしばらくは50〜60件程度の範囲で小幅な変動を続ける可能性があります。

ご家庭で気をつけたいこと

  • 発熱、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛、咳などの症状を呈します。
  • 体調不良時には無理をせず休養し、登校・登園や外出を控えることが大切です。
  • 手洗い・マスク・換気など、基本的な感染対策が予防につながります。

臨床的特徴と受診の目安

  • 潜伏期は1〜2日、発熱を主徴とする急性呼吸器感染症です。
  • 高熱が続く、呼吸苦がある、基礎疾患を有する方や高齢者では重症化リスクが高いため早めの受診が推奨されます。
  • 抗インフルエンザ薬は発症から48時間以内に投与することが望ましいとされています。

百日咳

2024年11月から2025年10月までの百日咳報告数の推移を示す折れ線グラフ。2025年春から夏にかけて50〜70件前後の高い水準が続いたが、8月以降は減少に転じ、9月にかけて大きく低下。直近の10月初旬は20〜30件台で推移している。

百日咳は、長引くから咳を特徴とし、2025年に現在進行系で大流行をきたしている呼吸器感染症です。

兵庫県は47都道府県中で第9位の報告数と、相対的に多い状況ながら、収束に向かいつつあるようです(「兵庫県の百日せき 感染状況|NHK 」)。

なお現在、百日咳の発症早期の検査として最も有用と考えられるDNA検査(LAMP法)は、検査実施4日前後で結果が判明します。

動向

  • 今週の報告数は 25件 で、前週(23件)からわずかに増加しました。
  • 4〜8週の短期的推移では、8月以降減少傾向が続いており、かつてのピーク期(50〜70件)に比べ落ち着きつつありますが、百日咳としては依然高水準が続いています。
  • 中期的には2025年春から夏にかけて断続的に高い水準(最大で70件前後)が続いていました。
  • 過去の経過からは、来週以降もしばらくは20〜30件台を中心に推移する可能性が高いと考えられます。

ご家庭で気をつけたいこと

  • 数週間にわたり咳が長引く場合は百日咳の可能性もあるため、医療機関での受診を検討してください。
  • 咳による夜間の睡眠障害や、乳児への二次感染に特に注意が必要です。
  • ワクチン接種歴の確認や、未接種のお子さんには定期接種の機会を逃さないことが大切です。

臨床的特徴と受診の目安

  • 百日咳は「カタル期」「痙咳期」「回復期」を経過する呼吸器感染症です。特に乳児では無呼吸発作を起こす危険があります。
  • 咳発作は夜間に強く、嘔吐を伴うこともあります。
  • 乳児、高齢者、持病のある方は重症化リスクが高いため、早めの受診が推奨されます。

特に、以下に該当する場合は積極的に受診を御検討下さい。

  • 連続する短い咳に続けて、息を吸うときに「ヒュー」と音がする
  • 周囲に百日咳と診断された人やしつこい咳の人がいる
  • しつこい咳が続く乳幼児の同居者

RSウイルス感染症

2024年11月から2025年10月までのRSウイルス感染症報告数の推移を示す折れ線グラフ。2025年3月に約90件でピークを記録、その後は減少し春から夏は低水準。9月に再び急増して70件を超えたが、10月初旬には40件程度に減少している。

昨冬の流行期以降、消臭の発生報告が続いているインフルエンザですが、この数週間、わずかながら増加傾向とも取れる動向のため掲載しています。

動向

  • 今週の報告数は 40件 で、前週(49件)から減少しました。
  • 4〜8週の短期的推移では、9月に一時的な急増(70件超)がありましたが、10月に入り減少に転じ、ピークを超えたようにも思われます
  • 中期的には2025年3月に大規模な流行(約90件)があり、その後春から夏は落ち着いていましたが、秋口に再び増加しました。
  • 過去の経過からは、今後しばらくは減少傾向を保ちながらも、20〜40件程度で推移する可能性があります。

ご家庭で気をつけたいこと

  • 発熱、鼻汁、咳などのかぜ症状から始まり、乳幼児では急速に呼吸状態が悪化することがあります
  • 特に1歳未満の乳児や早産児、心疾患や肺疾患などの基礎疾患を持つお子さんでは重症化リスクが高いため注意が必要です。
  • ご家庭では、手洗い・マスク・換気などの基本的な感染対策に加え、同居家族からの持ち込みを防ぐ工夫も大切です。
  • 兄弟姉妹や保育園などを通じた家庭内感染が多いため、症状がある場合はできるだけ接触を避けましょう。
  • お子様の感染症と認識されることが多いですが、成人のかぜ症候群の腫瘍なウイルスとして知られています。本症のお子様との濃厚接触で成人も重症化するケースがあります

臨床的特徴と受診の目安

  • 潜伏期は2〜8日程度。鼻汁・咳・発熱などの上気道炎症状から始まり、乳幼児では細気管支炎や肺炎を起こすことがあります。
  • 乳児では喘鳴(ゼイゼイ)、陥没呼吸、哺乳不良、無呼吸発作などがみられる場合があり、「苦しそうな呼吸」は重症化のサインです。
  • 高熱が続く、呼吸が苦しそう、顔色が悪い、水分が摂れないなどの症状がある場合には早急な受診をご検討下さい。
  • 成人では軽症で済むことが多いですが、高齢者や免疫力が低下している方では重症化する可能性があります

溶連菌性咽頭炎

2024年11月から2025年10月までのA群溶連菌咽頭炎報告数の推移を示す折れ線グラフ。2025年初夏から夏にかけて50〜80件で高水準が続き、8月以降はやや減少。9月末以降に急減し、10月初旬は30件前後となっている。

溶連菌性咽頭炎は、強い咽頭痛・高熱はあれど、咳が乏しいのが特徴的な、主にA群溶血性連鎖球菌による感染症です。
症状の強さもさることながら、合併症に留意が必要な点が日常的な感染症としては特徴的で、適切な対応を要します。

動向

  • 今週の報告数は 28件 で、前週(47件)から大きく減少しました。
  • 直近2週間では減少が続いており、5〜7月ほどの勢いではなくなりました
  • 4〜8週の短期的推移では、概ね25〜50の間を増減を繰り返しつつ推移しています。
  • 中期的には2025年初夏から夏にかけて50〜80件程度の高水準で推移しており、例年同様の流行がみられました。
  • 過去の経過からは、来週以降も30件前後の水準で推移する可能性があります。

ご家庭で気をつけたいこと

  • 喉の痛みや発熱がある場合は無理をせず休養し、学校や園は登校・登園を控えましょう。
  • 咳やくしゃみの際はティッシュや肘で口を覆い、手洗い・うがいを徹底してください。
  • 兄弟や家族内での感染拡大を防ぐため、食器やタオルの共用を避けましょう。

臨床的特徴と受診の目安

  • 急性咽頭炎を呈し、咽頭痛・発熱・扁桃の白苔が典型的です。
  • 小児では「イチゴ舌」や発疹(猩紅熱様発疹)を伴うこともありますが、近年は典型的な発疹を欠く例もあります。
  • 抗菌薬治療により症状は速やかに改善しますが、放置すると急性糸球体腎炎やリウマチ熱などの合併症があるため、早期受診が推奨されます。

咽頭結膜熱

2024年11月から2025年10月までの咽頭結膜熱報告数の推移を示す折れ線グラフ。2025年7月に70件を超えるピークがあり、その後は減少。8月以降は低下が続き、直近の10月初旬は20件未満で推移している。

手足口病は、手のひら・足の裏の皮疹と口内炎をを呈する夏季に流行しやすい夏風邪の一つです。

動向

  • 今週の報告数は 18件 で、前週(16件)からわずかに増加しました。
  • 4〜8週の短期的推移では、夏のピーク(7月に70件超)以降は減少傾向が続いており、現在は小康状態にあります。
  • 中期的には2025年6〜7月にかけて大きな流行を示しましたが、8月以降は漸減しており、秋以降は散発的な報告数に落ち着いています。
  • 今後もしばらくは20件前後の小規模な推移が続く可能性があります。

ヘルパンギーナ

2024年11月から2025年10月までのヘルパンギーナ報告数の推移を示す折れ線グラフ。2025年7月下旬から急増し、8月上旬に100件超でピーク。その後は急速に減少し、10月初旬には10件未満に落ち着いている。

手足口病は、手のひら・足の裏の皮疹と口内炎をを呈する夏季に流行しやすい夏風邪の一つです。

動向

  • 今週の報告数は 6件 で、前週(29件)から大きく減少しました。
  • 4〜8週の短期的推移では、7月下旬〜8月上旬にかけて100件超まで急増しピークを形成しましたが、その後は急速に減少しています
  • 中期的には2025年夏に大規模な流行を示した後、9月以降は急速に沈静化しており、例年通り夏季限定の流行パターンを示しています。
  • 今後もしばらくは10件未満の低水準で推移する可能性があります。

手足口病

2024年11月から2025年10月までの手足口病報告数の推移を示す折れ線グラフ。2024年秋に200件を超える大規模な流行があり、その後減少。2025年夏に再び30〜40件程度まで増加したが、9月以降は減少し、10月初旬は10件未満となっている。

手足口病は、手のひら・足の裏の皮疹と口内炎をを呈する夏季に流行しやすい夏風邪の一つです。

動向

  • 今週の報告数は 9件 で、前週(21件)から減少しました。
  • 4〜8週の短期的推移では、夏にかけて一時的に30〜40件前後まで増加しましたが、9月以降は減少が続き、現在は10件未満の水準に近づいています。
  • 中期的には2024年秋に大規模な流行(200件超)がみられましたが、その後は沈静化し、2025年夏以降は比較的小規模な流行にとどまっています
  • 過去の経過から、来週以降もしばらくは10件前後の低水準で推移する可能性があります。

ご家庭で気をつけたいこと

  • 発熱や手のひら・足底・口腔内に水疱性発疹が出現するのが特徴です。
  • 発疹や口内炎による痛みで水分・食事が摂れない場合があるため、脱水に注意してください。
  • 兄弟姉妹や園での集団感染を防ぐため、手洗いを徹底しましょう。

臨床的特徴と受診の目安

  • コクサッキーウイルスやエンテロウイルスによる夏風邪の一種です。
  • 多くは数日で自然軽快しますが、まれに髄膜炎や脳炎などの合併症を来すことがあります。
  • 高熱が持続する、嘔吐や強い頭痛がある、意識がぼんやりするなどの症状がある場合は速やかに受診してください。