芦屋市・西宮市・神戸市の感染症情報(10/23)

兵庫県感染症情報センターからリリースされている週報から芦屋市西宮市神戸市の情報をピックアップして集計したものを若干のコメントをつけて配信しています。

  • インフルエンザ:前週(72件)から59件増加し131件となりました。9月下旬まで低水準でしたが、10月に入り明確な上昇に転じています。
  • COVID-19:前週(123件)から50件減少し73件となりました。短期的には9月中旬のピーク(374件)を過ぎ、減少傾向が続いています。
  • 百日咳:前週(24件)から12件減少し12件となりました。短期的に減少傾向にありますが、年間では7月に74件のピークがみられました。
  • 伝染性紅斑:前週(82件)から37件減少し45件となりました。高水準を保ちながらも減少に転じています。妊婦への影響にも留意が必要です。
  • RSウイルス感染症:前週(38件)から10件減少し28件となりました。8〜9月に高かった報告数は、10月以降減少傾向です。
  • A群溶連菌咽頭炎:前週(65件)から19件減少し46件となりました。6月のピーク(86件)以降は緩やかな減少傾向が続いています。
  • 咽頭結膜熱:前週(22件)から4件減少し18件となりました。6月下旬(72件)をピークに減少傾向が続いています。
  • 水痘:前週(25件)から21件減少し4件となりました。10月中旬に一時的な増加を示しましたが、今週は再び低水準に戻りました。

目次

インフルエンザ

2024年11月から2025年10月までのインフルエンザ報告数の推移を示す折れ線グラフ。 2025年1月上旬に約4,000件のピークを記録し、2月以降は急減。春から夏にかけては低水準で推移し、9月以降に再び上昇。 直近10月23日時点では131件に増加している。

動向

  • 今週の報告数は 131件 で、前週(72件)から 59件増加 しました。
  • 直近(1〜2週)は明確な増加傾向を示しています。
  • 短期的(4〜8週)には、9月まではおおむね低水準でしたが、10月に入り急上昇しています。
  • 中期的には、2025年1月上旬に4,138件の大流行ピークを記録後、春から夏にかけては低水準で推移していました。
  • 過去の経過からは、秋季流行の立ち上がり期に入った可能性があり、来週以降もしばらく上昇が続く可能性があります。

ご家庭で気をつけたいこと

  • 発熱、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛、咳などの症状を呈します。
  • 体調不良時には無理をせず休養し、登校・登園や外出を控えることが大切です。
  • 手洗い・マスク・換気など、基本的な感染対策が予防につながります。

臨床的特徴と受診の目安

  • 潜伏期は1〜2日、発熱を主徴とする急性呼吸器感染症です。
  • 高熱が続く、呼吸苦がある、基礎疾患を有する方や高齢者では重症化リスクが高いため早めの受診が推奨されます。
  • 抗インフルエンザ薬は発症から48時間以内に投与することが望ましいとされています。

COVID-19

2024年11月から2025年10月までのCOVID-19報告数の推移を示す折れ線グラフ。 2025年2月に約220件のピーク、その後いったん沈静化し、2025年9月中旬に約374件の再流行ピークを記録。 10月に入ってからは急速に減少し、10月23日時点では73件に低下している。

クリニック診療では風邪程度の症状が多いものの、インフルエンザと同程度の辛さを訴える方も珍しくなく、肺炎に至って入院される方もおられます。

最近は「のどの痛み」が目立つ方が多いように思われます。

動向

  • 今週の報告数は 73件 で、前週(123件)から 50件減少 しました。
  • 直近(1〜2週)は明確な減少傾向を示しています。
  • 短期的(4〜8週間)には、9月中旬に約374件でピークを迎えた後、急速に減少しています。
  • 中期的には、**2025年2月にも一時的な流行(約220件規模)**があり、その後春〜初夏は比較的低水準で推移しました。
  • 過去の推移からみると、秋のピークを過ぎて流行終息へ向かう段階に入ったと考えられます

ご家庭で気をつけたいこと

  • 発熱や咽頭痛、咳などの症状がある場合は、外出や登園・登校を控えたり、人の多い屋内ではマスクを着用するなど、感染拡大防止にご協力下さい
  • 家庭内感染を防ぐため、共用スペースの時間差利用共用スペース利用時のマスク着用換気の励行を心がけましょう。
  • 高齢者や基礎疾患のある方との接触は特に注意してください。

臨床的特徴と受診の目安

  • 潜伏期は平均2〜3日、最長で7日程度とされます。発熱、咽頭痛、咳、倦怠感などの症状が出現します。
  • 現況は公共交通機関といった日常生活での感染も容易に起こり得るものと推定されます。
  • 高齢者、基礎疾患を有する方、妊婦は重症化リスクが高いため、早めの受診が望まれます。
  • 呼吸苦、強い倦怠感などがある場合は速やかに受診してください。

百日咳

2024年11月から2025年10月までの百日咳報告数の推移を示す折れ線グラフ。 2025年7月上旬に約74件のピークを記録した後、8月以降は減少傾向。 10月には報告数が20件前後まで低下し、10月23日時点では12件となっている。

百日咳は、長引くから咳を特徴とし、2025年に大規模な流行をきたした呼吸器感染症です。

兵庫県は47都道府県中で第13位の報告数と、相対的に多い状況ながら、収束には向かいつつあるようです(「兵庫県の百日せき 感染状況|NHK 」)。

なお現在、百日咳の発症早期の検査として最も有用と考えられるDNA検査(LAMP法)は、検査実施4日前後で結果が判明します。

動向

  • 今週の報告数は 12件 で、前週(24件)から 12件減少 しました。
  • 直近(1〜2週)は減少傾向が明確です。
  • 短期的(4〜8週間)には、9月以降に漸減傾向が続いており、8月の高水準(50件前後)から半減しています。
  • 中期的には、2025年7月上旬に74件のピークを記録し、その後は緩やかに減少を続けています。
  • 過去の推移からみると、秋以降は流行終息期に入っており、来週以降もしばらく低下または横ばいで推移する可能性があります。

ご家庭で気をつけたいこと

  • 数週間にわたり咳が長引く場合は百日咳の可能性もあるため、医療機関での受診を検討してください。
  • 咳による夜間の睡眠障害や、乳児への二次感染に特に注意が必要です。
  • ワクチン接種歴の確認や、未接種のお子さんには定期接種の機会を逃さないことが大切です。

臨床的特徴と受診の目安

  • 百日咳は「カタル期」「痙咳期」「回復期」を経過する呼吸器感染症です。特に乳児では無呼吸発作を起こす危険があります。
  • 咳発作は夜間に強く、嘔吐を伴うこともあります。
  • 乳児、高齢者、持病のある方は重症化リスクが高いため、早めの受診が推奨されます。

特に、以下に該当する場合は積極的に受診を御検討下さい。

  • 連続する短い咳に続けて、息を吸うときに「ヒュー」と音がする
  • 周囲に百日咳と診断された人やしつこい咳の人がいる
  • しつこい咳が続く乳幼児の同居者

伝染性紅斑(りんご病)

2024年11月から2025年10月までの伝染性紅斑報告数の推移を示す折れ線グラフ。 2025年春以降に上昇傾向を示し、10月中旬に82件のピークを記録。 その後は減少し、10月23日時点では45件となっている。全体として高水準の状態が続いている。

伝染性紅斑は、ほっぺたがりんごのように赤くなるのを特徴とする、りんご病の名で知られる感染症です。

動向

  • 今週の報告数は 45件 で、前週(82件)から 37件減少 しました。
  • 直近(1〜2週)は明確な減少傾向を示しています。
  • 短期的(4〜8週間)には、7月以降増減を繰り返しつつ、高水準で推移しています。
  • 中期的には、春から初夏にかけて上昇傾向が始まり、夏季を経て秋に高止まりしていました。
  • 報告数は依然として比較的高い水準にあり、妊婦への影響にも留意が必要です。
  • 過去の経過からは、今後しばらくは高めの水準で推移する可能性があります。

ご家庭で気をつけたいこと

  • 頬に赤い発疹が出現するのが典型で、学校や園で集団発生することがあります
  • 発疹が出る頃には感染性は低下していますが、潜伏期(1〜2週間)は感染を広げやすいため注意が必要です。
  • 家族や周囲に妊婦がいる場合は特に感染拡大を防ぐことが重要です

臨床的特徴と受診の目安

  • 発熱や風邪様症状に続いて、頬部の紅斑(平手打ち様発疹)が出現するのが特徴です。四肢にも網目状の発疹が広がります。
  • 発疹出現後は全身状態が比較的良好であることが多いですが、妊婦では胎児感染による重篤な影響(胎児水腫など)が報告されています。
  • 妊娠中に発疹や感染が疑われる場合は、速やかに産婦人科に相談してください

妊婦さんへの感染では胎児への影響が懸念されるため、妊婦さんが感染するのは何としても防ぎたいところですが、伝染性紅斑がうつりやすいのは伝染性紅斑らしさが出る前の時期であるため、妊婦さんは十分な感染対策をなさって下さい

伝染性紅斑とは

別名「りんご病」といい、風邪症状+赤いほっぺたを呈するウイルス感染症です。
5年程度の周期性の流行を認める傾向があり、前回の当地での流行はまさに2019年末〜2020年2月頃でした。

大半の方にとっては大きな問題とならないものですが、合併症に留意が必要な方々がおられます。

合併症

胎児水腫
妊婦の感染を経て胎児が感染すると、胎児の体内に液体貯留しやすくなる胎児水腫という合併症をきたして専門医による管理・治療を要することがあります。
妊婦さんはマスク着用などの感染対策を十分になさって下さい。

骨髄無形成発作
溶血性貧血患者が感染すると、重度の貧血や、赤血球以外の血球減少を伴う汎血球減少症をきたすことがあります。

感染対策

りんご病を特徴づけるのはほっぺたの赤みですが、この症状を呈する時期には既に感染源になる時期を過ぎており、りんご病患者がごく身近で発生してからの対策は後手になります。
肝要なのは生活圏での流行の把握となり、特に妊婦さんは登園中のお子さんがおられましたら登園先の発生状況の把握に努めるなどして、ご自身の生活圏で発生があれば速やかに十分な対策をして下さい。

具体的な対策は飛沫感染対策・接触感染対策となりますので、マスク着用・手洗い励行をお勧め致します。

RSウイルス感染症

2024年11月から2025年10月までのRSウイルス感染症報告数の推移を示す折れ線グラフ。 2025年3月に約97件の大きなピークを記録した後、春から夏にかけては低水準で推移。 9月上旬から再び増加し9月中旬に67件で小ピークを迎えたが、10月以降は減少して10月23日時点では28件となっている。

昨冬の流行期以降、消臭の発生報告が続いているインフルエンザですが、この数週間、わずかながら増加傾向とも取れる動向のため掲載しています。

動向

  • 今週の報告数は 28件 で、前週(38件)から 10件減少 しました。
  • 直近(1〜2週)は減少傾向が明確です。
  • 短期的(4〜8週間)には、9月上旬から一時的に増加し、9月中旬に67件でピークを記録した後、減少に転じています。
  • 中期的には、2025年3月にも97件の大きな流行があり、その後春〜夏にかけては低水準で推移していました。
  • 過去の傾向からは、秋季流行の後半に入り減少局面にあると考えられ、来週以降もしばらく減少〜横ばいの可能性があります。

ご家庭で気をつけたいこと

  • 発熱、鼻汁、咳などのかぜ症状から始まり、乳幼児では急速に呼吸状態が悪化することがあります
  • 特に1歳未満の乳児や早産児、心疾患や肺疾患などの基礎疾患を持つお子さんでは重症化リスクが高いため注意が必要です。
  • ご家庭では、手洗い・マスク・換気などの基本的な感染対策に加え、同居家族からの持ち込みを防ぐ工夫も大切です。
  • 兄弟姉妹や保育園などを通じた家庭内感染が多いため、症状がある場合はできるだけ接触を避けましょう。
  • お子様の感染症と認識されることが多いですが、成人のかぜ症候群の腫瘍なウイルスとして知られています。本症のお子様との濃厚接触で成人も重症化するケースがあります

臨床的特徴と受診の目安

  • 潜伏期は2〜8日程度。鼻汁・咳・発熱などの上気道炎症状から始まり、乳幼児では細気管支炎や肺炎を起こすことがあります。
  • 乳児では喘鳴(ゼイゼイ)、陥没呼吸、哺乳不良、無呼吸発作などがみられる場合があり、「苦しそうな呼吸」は重症化のサインです。
  • 高熱が続く、呼吸が苦しそう、顔色が悪い、水分が摂れないなどの症状がある場合には早急な受診をご検討下さい。
  • 成人では軽症で済むことが多いですが、高齢者や免疫力が低下している方では重症化する可能性があります

溶連菌性咽頭炎

2024年11月から2025年10月までのA群溶連菌咽頭炎報告数の推移を示す折れ線グラフ。 2025年6月中旬に約86件のピークを記録し、その後は50件前後で推移。 9月下旬にやや上昇したが、10月23日時点では46件に減少している。

溶連菌性咽頭炎は、強い咽頭痛・高熱はあれど、咳が乏しいのが特徴的な、主にA群溶血性連鎖球菌による感染症です。
症状の強さもさることながら、合併症に留意が必要な点が日常的な感染症としては特徴的で、適切な対応を要します。

動向

  • 今週の報告数は 46件 で、前週(65件)から 19件減少 しました。
  • 直近(1〜2週)は減少傾向です。
  • 短期的(4〜8週間)には、9月下旬以降増減を繰り返しつつ、漸増傾向で推移しています。
  • 中期的には、2025年6月中旬に86件でピークを記録し、その後は概ね50件前後で推移しています。
  • 過去の経過からみると、現在は中等度の水準で安定化しつつある段階と考えられ、来週以降も横ばい〜やや減少の可能性があります。

ご家庭で気をつけたいこと

  • 喉の痛みや発熱がある場合は無理をせず休養し、学校や園は登校・登園を控えましょう。
  • 咳やくしゃみの際はティッシュや肘で口を覆い、手洗い・うがいを徹底してください。
  • 兄弟や家族内での感染拡大を防ぐため、食器やタオルの共用を避けましょう。

臨床的特徴と受診の目安

  • 急性咽頭炎を呈し、咽頭痛・発熱・扁桃の白苔が典型的です。
  • 小児では「イチゴ舌」や発疹(猩紅熱様発疹)を伴うこともありますが、近年は典型的な発疹を欠く例もあります。
  • 抗菌薬治療により症状は速やかに改善しますが、放置すると急性糸球体腎炎やリウマチ熱などの合併症があるため、早期受診が推奨されます。

咽頭結膜熱

2024年11月から2025年10月までの咽頭結膜熱報告数の推移を示す折れ線グラフ。 2025年7月初旬に約72件のピークを記録し、その後減少。 秋以降は20件前後で推移し、10月23日時点では18件となっている。

動向

  • 今週の報告数は 18件 で、前週(22件)から 4件減少 しました。
  • 直近(1〜2週)はわずかに減少しています。
  • 短期的(4〜8週間)には、9月以降に小幅な増減を繰り返しながら全体として横ばい傾向です。
  • 中期的には、2025年7月初旬に72件のピークを記録し、その後は夏の流行を過ぎて減少に転じました。
  • 過去の経過からは、流行期を終えて落ち着きつつある段階と考えられ、来週以降もしばらく低水準〜横ばいの可能性があります。

ご家庭で気をつけたいこと

  • 発熱、咽頭痛、結膜の充血や目やになどの症状がみられます。
  • 発症初期は感染力が強く、家庭や学校内で広がることがあります。手洗い・タオルの共用を避けるなど、接触感染対策が重要です。
  • 体調が悪い時は無理をせず休養し、発熱や目の充血がある間は登校・登園を控えましょう。

臨床的特徴と受診の目安

  • 潜伏期はおおむね5〜7日で、発熱・咽頭痛・結膜炎を主徴とするアデノウイルス感染症です。
  • 高熱が3〜5日程度続くことがあり、目の充血や痛みを伴う場合には眼科受診が必要になることもあります。
  • 症状が強い場合や長引く場合、集団生活に復帰する前には医療機関での診断を受けることが望まれます。

水痘

2024年11月から2025年10月までの水痘報告数の推移を示す折れ線グラフ。 年間を通して報告数は低水準で推移し、2025年6月に21件、10月中旬に25件の一時的増加を示した。 その後は再び減少し、10月23日時点では4件となっている。

水痘は、「みずぼうそう」の俗称で知られる、頭皮から脚まで全身性に水疱を伴う皮疹を生ずるウイルス感染症です。

動向

  • 今週の報告数は 4件 で、前週(25件)から 21件減少 しました。
  • 直近(1〜2週)は急減傾向を示しています。
  • 短期的(4〜8週間)には、9月下旬から10月中旬にかけて一時的に増加し、10月中旬に25件で小ピークを記録しましたが、今週は再び低水準に戻りました。
  • 中期的には、2025年6月にも一時的な増加(21件)がみられましたが、全体としては年間を通じて散発的な発生にとどまっています。
  • 過去の推移からみると、短期的な変動を繰り返しながらも全体的には低水準で推移しており、来週以降もおおむね安定〜横ばいが見込まれます。