COVID-19対策について

兵庫県にも緊急事態宣言が出される中、不安を募らせている方も多いと思います。
COVID-19の全容解明は専門医の先生方が全力で取り組まれており、早晩色々な事が明らかになっていきます。

ここでは感染対策に的を絞って記載しましたので、適切な対策をしながら状況の改善を待ちましょう。

ウイルスの感染ルート

ウイルスは感染者から非感染者へと拡がります。そのルートを知って適切な対策をしましょう。

1つ目のルートから見てみましょう。
まず感染者がくしゃみや咳をすることでウイルスを含む飛沫(鼻水やたん)が飛散します。この時飛沫を浴びる範囲(1〜2m程度)にいると、飛沫を吸引したり、目の粘膜に付着するなどして感染します。これを飛沫感染と言います。

2つ目のルートです。
感染者から飛散した飛沫の大半は落下してドアノブなどに付着します。この飛沫が付着した部位にふれると手に飛沫が付着します。その手で目をこすったり、鼻をいじったりすると感染します。これを接触感染と言います。

最後に3つ目です。
エアロゾルとは非常に小さな飛沫のことで、感染者から飛散した後に飛沫が蒸散(乾燥)してエアロゾル化したり、落下して付着した飛沫が蒸散してエアロゾル化したりします。飛沫同様にこれを吸引すると感染します。

※エアロゾル感染や空気感染、あるいは接触感染の定義には幅があります

対策①:マスク

マスク着用・手洗い・手指消毒・環境消毒は周知の対策ですが、それぞれ感染ルートのどこに有用なのでしょうか。

マスクはざっくりと一般のマスク(花粉アレルギー用なども含む)、サージカルマスク、N95マスクに分類されます。ブロックできる粒子が大きいものから順に一般のマスク>サージカルマスク>N95マスクとなります。N95マスクはエアロゾルもブロックでき、サージカルマスクはエアロゾルはブロックできませんが飛沫はブロックでき、一般のマスクはエアロゾルも飛沫もブロックできません。以降マスク=サージカルマスクとして記載しています。

さて、マスクが有用なシチュエーションは図の緑の線のところです。

1つ目は感染者がマスク着用することで飛沫として飛散するのをブロックします。これは感染拡大を元栓でブロックするもので非常に有用と考えられます。

2つ目は非感染者が着用することで感染者から飛散した飛沫を吸入するのをブロックします。おそらくみなさんがマスクに一番期待するのはここでしょう。ただ前項の「1つ目のルート」に書いた通り飛沫の飛距離は1〜2m程度と考えられており、具体的には電車内や店内のすぐそばの席の感染者が咳をしたとか、感染者がすれ違いざまにくしゃみをしたといったシチュエーションということになり、実は意外と限られたシチュエーションであると考えられます。ただし感染者の絶対数が増えると限られたシチュエーションとて遭遇する機会は増えますので、過剰な期待は禁物ですが現状では「しておくのが望ましい」ように思います。不顕性感染者(発症していない感染者)からの飛散を防止する意味でも合理的なように思われます。

エアロゾル感染まで対策が有効なのは紫の線のところでN95マスクが必要です。ただ現時点でエアロゾル感染のリスクがどの程度あるのかは不明であったり、N95マスクの正しい使用は難しいことなどがありスタンダードな対策として位置づけられるものではありません。蛇足ですが、N95マスクを正しく装着していると息が非常に吸いにくく、長時間の着用は忍耐を伴います。

対策②:手洗い・消毒

まずドアノブなどの消毒です。図の抹茶色とオレンジ色の線がそれです。多くのウイルスが飛沫として飛散した後短時間で感染性を失うのに対して、新型コロナウイルスは感染性を失うのに比較的長時間かかる可能性が示唆されています。これに加えてアルコールや次亜塩素酸といった入手しやすい消毒液が有効なので、これらによる消毒は励行すべきと考えられます。

次に手洗い・手指消毒です。手洗いをすると手に付着したウイルスを減らせます。手洗いは流水を当て続けながら手をこすり合わせましょう。こうすることで手から離れたウイルスが流れ落ちやすくなります。手洗いは念入りにしても必ず洗い残しが生じますので、手洗いの後は手指消毒で仕上げをしましょう。ここまでやれば一般家庭の対策としては十分と考えられます。

対策③:環境整備

一般的な道具を使ってエアロゾル感染対策をするのはかなり困難ですが、実は非常にシンプルな方法が有用と考えられます。それは感染者と空間を長時間共有しないということです。また換気は閉鎖空間内のエアロゾル滞留の抑止に有用である事が期待されます。戸外のような開放空間ではエアロゾルは速やかに拡散するため感染自体のリスクが高くなく、各種対策によるリスク低下を期待するのは難しいかもしれません。なお、新型コロナウイルスが大気中にたくさん浮遊しているイメージを持たれているかもしれませんがそんな事はありません。

また飛沫感染も感染者と空間共有しないことが有用と考えられますが、共有する場合は同席者同士の間隔をとる事が有用と考えられます。

なお、緊急事態宣言に伴う不要不急の外出自粛は空間共有の機会を減らすのに寄与します。

まとめ

マスクが最も有用なのは飛沫感染で、特に非感染者の飛沫暴露より感染者からの飛沫飛散の抑止に効果を発揮します。ただし潜在的な感染者が多いと考えられる現状ではより多くの方が着用する意義はあると期待されます。

一旦飛散した飛沫対策として環境消毒の有効性はあると期待されますし、仮に環境消毒が不十分だとしても手洗いや手指消毒を十分にすることは接触感染という感染ルートの最後の部分に対する有効な対策です。是非とも励行しましょう。

※付着した飛沫のエアロゾル化や用語の正確性については容易な理解を優先するために割愛しています

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