現在芦屋市はHPVワクチンのキャッチアップ接種を実施中です。
キャッチアップ接種とは、何らかの理由で定期接種を受ける機会を逃した人々に対して、改めて接種機会を提供するものです。
対象者
- 1997/4/2〜2007/4/1生まれ
- これまでのHPVワクチン接種回数が0〜2回
の女性です。
5月中旬頃に芦屋市から接種対象の方宛に通知が郵送されていますので当該年齢の女性はご確認下さい。
本キャッチアップ接種は今年度をもって終了することがアナウンスされており、これまで未接種の場合は標準スケジュールで9月中に、変則スケジュールで11月中旬には接種開始しないと年度内に接種が完了せず、残りの接種は自費となりますのでご注意下さい。
HPVワクチンの概要
HPVとは?
ヒトパピローマウイルス(HPV)は、皮膚や粘膜に感染するウイルスの一種で、特に子宮頸がんの原因として知られています。
ワクチンの効果
HPVワクチンは、HPV感染による前がん病変やがんの発生を効果的に予防します。
子宮頸がんの原因となるHPVは性行為で感染するため性交未経験のうちの接種が理想的ですが、性交経験が少ないほどその効果はより期待し得ます。
安全性
HPVワクチンは、多くの臨床試験および実際の使用実績からその安全性が確認されています。WHOは接種を推奨しており、世界120カ国以上で公的に接種が行われています。
キャッチアップ接種が実施される背景は安全性に対する懸念から接種機会を逃した方が多かったためですが、きっかけは2013年にHPVワクチン接種後に体調不良を訴える事例が報告され、メディアで大きく取り上げられたことでした。
これを受けて厚生労働省はHPVワクチンの積極的な接種勧奨を一時的に中止したのですが、この中止が長びく間にHPVワクチンに対する不信感が広まり、結果的に多くの人がワクチン接種の機会を逃しました。
グローバルで見るとG7加盟国中で日本のHPVワクチンの接種率は際立って低く、安全性に対する理解度の彼我の差がそれなりに反映されたものと推察されます。
安全性に関しては
- 世界保健機関(WHO)(”Safety of HPV vaccines“)
- アメリカ疾病予防管理センター(CDC)(”Questions about HPV Vaccine Safety“)
- アメリカ国立がん研究所(NCI)(”Human Papillomavirus (HPV) Vaccines“)
などが他の一般的なワクチンに比して特段の懸念はない旨のコメントを出しています。
以下にWHOのHPVワクチンの安全性に関するWEBページの抜粋を示しておきます。
「HPVワクチン接種開始後の早い段階で、委員会はアナフィラキシーと失神が接種に随伴し得ることを指摘しました。アナフィラキシーは1.7回/100万回であり、失神は他のワクチン接種でも認める不安やストレス関連の反応として確立されたものです。その他の副作用は確認されておらず、委員会はHPVワクチンが極めて安全であると考えています。」
Safety of HPV vaccines / WHO
「複合性局所疼痛症候群(CRPS)および体位性起立性頻脈症候群(POTS)は、特にデンマークと日本からHPVワクチン接種に関連する症例報告として引き続き発表されています。 〜中略〜 2017年6月、痛みや運動機能障害など多様な症状の症例を評価した日本からの新しいデータが委員会に提出されました。症例は、痛み、神経学、リウマチ学、小児科、精神科/心身医学など、さまざまな分野の複数の病院の医療部門が関与する全国的な疫学調査から挙げられました。これらの複雑な症候群は男女ともに発現しましたが女子に多く、ワクチン接種者と非接種者の両方に発生しました。委員会は前回のレビュー以降、HPVワクチンとCRPS、POTS、または痛みや運動機能障害などの多様な症状との因果関係を示唆する証拠はまだないと結論付けました。」
FAQ(よくあるご質問)
芦屋市民ではありませんがあしやサニークリニックでキャッチアップ接種を受けられますか?
西宮市・神戸市をはじめ、殆どの自治体は事前申請することで市外医療機関で定期接種が受けられるようになります。
キャッチアップ接種の市外接種についても同様の対応の自治体が殆どで、西宮市民・神戸市民の方をはじめとする殆どの自治体の方があしやサニークリニックでHPVワクチンのキャッチアップ接種を受ける事ができます。
詳細は下記ページを御覧ください。
HPVワクチン接種にはどのような副反応がありますか?
HPVワクチンの副反応は一般的に軽度で、一時的なものがほとんどです。
比較的見られやすい副作用は、接種部位の痛み・腫れ・赤み、筋肉痛、頭痛、発熱などですが、多くの場合その程度は他の筋肉接種ワクチンと同等です。
重篤な副作用は非常にまれです。
HPVワクチンにはいくつかの種類がありますがキャッチアップ接種はどのワクチンを接種しますか?
定期接種で使用されるHPVワクチンには
- サーバリックス®
- ガーダシル®
- シルガード9®
の3種類があります。
原則的にはこれまでに接種を受けたもので残り分の接種を行い、やむを得ない場合に限り他剤で接種を継続します。
当クリニックでは他剤で継続する場合はシルガード9®を用います。
接種スケジュールについて教えて下さい
これまでサーバリックスを接種してきた場合
- 標準的には、2回目は1回目から1ヶ月以上空け、3回目は2回目から5ヶ月空けて接種します。
- 標準的に接種できない場合は、2回目は1回目から1ヶ月以上空け、3回目は1回目から5ヶ月以上かつ2回目から2ヶ月半空ければ接種可能です。
これまでガーダシルやシルガード9を接種してきた場合
- 標準的には、2回目は1回目から2ヶ月空け、3回目は2回目から4ヶ月空けて接種します。
- 標準的に接種できない場合は、2回目は1回目から1ヶ月以上空け、3回目は2回目から3ヶ月空ければ接種可能です。
原則的には標準的スケジュールで接種し、キャッチアップ接種の終了が近づくなど、標準的なものでは完了しない場合に限り非標準的なスケジュールで接種します。
9月までにキャッチアップ接種を開始できなかった場合はどうなるのでしょう?
この度のキャッチアップ接種は2025/3/31までに対象者が受けたHPVワクチンの接種費用を自治体が負担するというものです。
HPVワクチンは3回接種で完了となりますが、3回全てをキャッチアップ接種として受けるなら、原則的には9月中に、例外的には11月中までに1回目接種を開始すれば期限内に接種が完了し、自己負担は生じません。
上記のタイミングで開始できなかった場合2025/3/31までに接種は完了しませんが、そこまでの接種分については自己負担はなく、2025/4/1以降の接種分は自己負担が生じるということになります。
したがって例えば12月以降でも接種を思い立たれたなら1回でも2回でも今年度内に接種を受けて、少しでも自己負担を軽くして合計3回の接種を完了されることをお勧めいたします。
HPVワクチンキャッチアップ接種を受けるには
WEB予約がお勧めです。
下記ボタンから予約サイトにアクセスし、診療メニューから「ワクチン①」を選択して予約日選択に進んで下さい。
WEB予約時に「問診票」を開くと接種希望ワクチン申請フォームが開きます(実際の予診票ではありません)。
そちらから接種希望ワクチンの申請も忘れずにお願い致します。
下記ボタンからもフォームが開きます。
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