インフルエンザ
最初にまとめ
感染
流行を示すインフルエンザウイルスにはA型、B型があります。
A型、B型はさらに細かく分類されて1シーズン中にこれらのうちの1つ、ないし複数が流行します。
インフルエンザウイルスには短期間で遺伝子変異するというやっかいな特徴があるため免疫の監視から逃れやすく、毎年流行します。
主に飛沫感染によって感染し、1〜3日間の潜伏期間を経て発症します。
感染者は発症1日前〜解熱2日後程度の間、他者にうつす可能性があります。
1人の感染者は新たに2人感染させる可能性があると考えられています。
ポイント
もう少し詳しく
遺伝子変異には少し起きる連続抗原変異と、大きく起きる不連続抗原変異があります。
不連続抗原変異後のウイルスは大流行を起こして甚大な被害をもたらします。
2009年のいわゆる新型インフルエンザは比較的記憶に新しいところです。
症状
基本的にはカゼと同じくはなみず・のどの痛み・咳などを認め、 発熱・頭痛・関節痛・倦怠感といった症状がより強く出る傾向があります。
またカゼがのどの痛みや鼻水などから症状が徐々に増えていくのに対して、インフルエンザは 高熱(38.0℃以上)・頭痛・関節痛・倦怠感 が急激に生ずる傾向があります。
一方「かくれインフルエンザ」と表現されるように、一般的なカゼと同程度の症状しか示さない事もまれではありません。
合併症として高齢者や基礎疾患をお持ちの方を中心とした肺炎や、乳幼児を中心とした脳症が知られています。
また後述の通り異常行動を認めることがあります。
ポイント
診断
症状、身体所見、流行状況、インフルエンザ抗原迅速検査などから総合的に診断します。
インフルエンザ抗原迅速検査の精度は発症後24〜48時間かけて向上し、発症後間もないと不十分である感が否めません。
昼過ぎから発症してその日の夕方に検査すべきかは慎重に検討すべきでしょう。
陽性という検査結果は発症後間もなくから一貫して「インフルエンザですね」とお伝えできるのですが、陰性という検査結果は発症後間もないと「明日検査すると陽性になるかもしれません」と言わざるを得ないことがあります。
少なくとも発症当日に「検査陰性でしたよ、インフルエンザじゃないですね〜!」と言うのは控えた方がいいように思われます。
ポイント
治療
治療は対症療法と抗ウイルス療法からなります。
対症療法は症状の緩和に、抗ウイルス療法はインフルエンザウイルスの増加の抑制を図ります。
抗ウイルス療法としてタミフルが有名ですが、服用の最大のメリットは発熱期間の短縮です。
また、作用機序的に発症後48時間までに服用を開始するべきとされています。
ポイント
もう少し詳しく
かつてタミフル服用後の異常行動が報告され、10代に対するタミフル等の処方差し控えの通達が厚労省から出されましたが、その後の調査・研究で抗インフルエンザ薬と異常行動の関連を支持する結果は得られず、2018年に処方差し控えの通達は撤回されました。
異常行動について最も大事なのは
という点につきます。
のいずれもが該当する場合に多いことが知られており、当てはまる場合は十二分にご留意下さい。
予防
インフルエンザにかかるとインフルエンザウイルスに対する抗体が産生され、産生された抗体がウイルスを抑えにかかります。
インフルエンザワクチンはインフルエンザウイルスの「部品」を接種することであらかじめ抗体産生しておき、いざ感染した時により早い収束を図るものです。
接種すると被接種者だけでなく、周りの非接種者のリスクも低減します。
なお、抗体産生は年齢差や個体差といった様々な要因により得られる効果は一定ではありません。
しかし様々なデータが発症リスク、重症化リスク、死亡リスクを低減することを示しています。