兵庫県感染症情報センターからリリースされている週報から芦屋市・西宮市・神戸市の情報をピックアップして集計したものを若干のコメントをつけて配信しています。

百日咳

兵庫県は東京都に次ぐ47都道府県中第2位の報告数と、憂慮すべき状況です(「兵庫県の百日せき 感染状況|NHK 」)。
グラフの通り、4月下旬から急激に増加し、これまでのところ高水準を維持しています。
病初期にただの風邪と見分けがつきにくく、診断が難しいのが悩ましいところです(「百日咳 」)。
上記に該当する場合は積極的に受診を御検討下さい。
溶連菌性咽頭炎
溶連菌性咽頭炎は9月末から下げ止まりの様相を経て、2月から4月にかけて漸減傾向でしたが、この1ヶ月ほどは上昇傾向で、今後の動向に留意が必要です。
迅速検査だけで診断しにくいのが溶連菌性咽頭炎の難しさですが、
といった条件が揃った時は受診されるのがいいでしょう。
伝染性紅斑(りんご病)
伝染性紅斑は増加傾向が続き、絶対数も多くなってきました。
妊婦さんが感染するのは何としても防ぎたいところですが、伝染性紅斑がうつりやすいのは伝染性紅斑らしさが出る前の時期であるため、妊婦さんの自己防衛が最も大事になります。
伝染性紅斑とは
別名「りんご病」といい、風邪症状+赤いほっぺたを呈するウイルス感染症です。
5年程度の周期性の流行を認める傾向があり、前回の当地での流行はまさに2019年末〜2020年2月頃でした。
大半の方にとっては大きな問題とならないものですが、合併症に留意が必要な方々がおられます。
合併症
胎児水腫
妊婦の感染を経て胎児が感染すると、胎児の体内に液体貯留しやすくなる胎児水腫という合併症をきたして専門医による管理・治療を要することがあります。
妊婦さんはマスク着用などの感染対策を十分になさって下さい。
骨髄無形成発作
溶血性貧血患者が感染すると、重度の貧血や、赤血球以外の血球減少を伴う汎血球減少症をきたすことがあります。
感染対策
りんご病を特徴づけるのはほっぺたの赤みですが、この症状を呈する時期には既に感染源になる時期を過ぎており、りんご病患者がごく身近で発生してからの対策は後手になります。
肝要なのは生活圏での流行の把握となり、特に妊婦さんは登園中のお子さんがおられましたら登園先の発生状況の把握に努めるなどして、ご自身の生活圏で発生があれば速やかに十分な対策をして下さい。
具体的な対策は飛沫感染対策・接触感染対策となりますので、マスク着用・手洗い励行をお勧め致します。
咽頭結膜熱(プール熱)
3大夏風邪の一角、咽頭結膜熱が急増しました。
咽頭結膜熱は名前の通り、
を呈する、主に学童期までに好発する感染症です。
飛沫感染・接触感染により感染し、プール熱の俗称が示すようにプールにおいてはタオルや、プールの水が感染源となり得ると考えられています。
ただし、昨今はタオルを共有する機会が減ったり、プールの塩素濃度の適正化などによりプールを地盤とした流行はないようです。
インフルエンザのような迅速抗原検査キットがありますが、精度が十分とは言えず、陰性であっても咽頭結膜熱を否定し得ません(陽性の場合は高い精度で咽頭結膜熱と診断し得ます)。