HPVワクチンについて

HPVとはヒトパピローマウイルスの略称で子宮頸がんの原因として知られるウイルスです。 世界的にごくありふれたウイルスで、主に性交渉によって感染します。 HPVワクチンは接種により感染を予防し、結果的に子宮頸がんの発症リスクの低減に寄与します。

最初にまとめ

  • 接種により子宮頸がんの発症リスクが低減することが示されています。
  • 概ね半年かけて計3回接種を受けます。
  • 定期接種の対象は小学6年〜高校1年相当の女性です。
    ⛔️現在1997年4月2日~2006年4月1日生まれの女性も接種対象です
  • 安全性についてWHOなどで十分に確認がなされています。

HPVとは

HPVはヒトパピローマウイルスの略称で世界中のあらゆる所で見られるごくありふれたウイルスです。

ほとんどは性交渉によって感染し、持続感染により子宮頸がんだけでなく、膣がん・陰茎がん・肛門がん・咽頭がんなどの悪性腫瘍や、男女の生殖器に生ずる尖圭コンジローマという良性腫瘍の発症リスクになります。

HPVと子宮頸がんの関係

子宮頸がんは子宮頚部という子宮の入り口に相当する部分に生ずる悪性腫瘍で、主要な原因としてHPV感染が挙げられます。

HPV感染を原因とする子宮頸がんはHPV 16型・18型によるものだけで子宮頸がん全体の60〜70%を占め、その割合は若年発症のものほど高くなり、20代発症の子宮頸がんでは実に90%を占めます。

HPV関連の子宮頸がんの特徴として感染から発症までが比較的早いことが挙げられます。現在の発症年齢のピークは30代後半であり、妊娠可能時期と重なっていることに留意が必要です。

HPVワクチンの接種状況

日本の接種率は非常に低いです

HPVワクチンは欧米では2006年から、日本では2009年から使われるようになりました。

WHOは接種を推奨しており、2019年の接種率はフランスで約30%、ドイツで約40%、アメリカ・イタリアで約50%、カナダ・イギリス・オーストラリアで約80%です。なお、同年の日本では1.9%(3回完了)でした。

HPVワクチンと子宮頸がん

世界的には接種の普及に伴って前癌病変や子宮頸がんの発症低下が報告されています

子宮頸がんは正常の組織から前癌病変という組織学的異常を経て子宮頸がんに至ります。

HPVワクチン被接種者群において前癌病変の発生率の低下が世界的に報告されており、一部の国からは子宮頸がんの発生率の低下も報告され始めています。

国内でもHPV 16型・18型の感染率の低下、前癌病変の発生の低下が報告されており、今後HPVワクチンの普及に伴い子宮頸がんの発生率が低下することが予想されます。

HPVワクチンの安全性

病状によって適切なものを選びます

2022年、情報収集の結果妥当な安全性が確認されたため、厚生労働省は2013年からの積極的勧奨の差し控えを取り下げました。

以下は日本産婦人科学会の資料中の安全性に関する抜粋です。

日本産婦人科学会「子宮頸がんとHPVワクチンに関する最新の知識」より

  • WHOは子宮頸がんやHPV関連疾患を世界的な公衆衛生上の問題として重要視しており、HPVワクチンを国の接種プログラムに導入すべきであると繰り返し推奨しています。
  • WHOは2価・4価・9価いずれのワクチンも、優れた安全性と有効性のプロファイルを示すと結論しています。
  • WHOのワクチンの安全性に関する専門委員会(GACVS)が【中略】、本ワクチンは極めて安全であるとの見解を改めて発表しています。
  • 最近の世界各国における大規模な疫学調査において、非接種者と比べて有意に頻度の高い重篤な有害事象は見つかっていないと述べられています。
  • 注射部位の一時的な痛みは9割以上、一過性の発赤や腫れなどの局所症状は約8割の方に生じます。また、若年女性で注射時の痛みや不安のために失神(迷走神経反射)を起こした事例が、頻度は少ないながらも報告されている【中略】。
  • 日本においてワクチン接種後に報告された広範な疼痛や運動障害、起立性調節障害などを含む多様な症状に関しては、国内外において多くの解析が慎重に行われてきましたが、当該症状とワクチン接種との因果関係を科学的・疫学的に示した報告はありません。
  • 多様な症状(頭痛、倦怠感、関節痛、筋肉痛、筋力低下、運動障害、認知機能の低下、めまい、月経不整、不随意運動、起立性調節障害、失神、感覚鈍麻、けいれん等)が未回復である症例(追跡できなかった方や未報告の症例は除く)の頻度は10万人あたり約5人(0.005%)であると報告されました。
  • 厚生労働省副反応検討部会において、接種後に副反応疑いとして報告された多様な症状は機能性身体症状であるという見解が確認されています。
  • これまでにHPVワクチン接種後に生じた多様な症状とHPVワクチンとの因果関係を示唆する新しい質の高いエビデンスは報告されていないことと、臨床の現場では医師の専門性の違い、または主たる症状の違い等により、同一と思われる病態でも様々な傷病名で診療が行われている実態があるものの、それらは機能性身体症状と同一のものであると考えられるとの見解が発表されています。