HPVワクチンについて
最初にまとめ

HPVとは
HPVはヒトパピローマウイルスの略称で世界中のあらゆる所で見られるごくありふれたウイルスです。
ほとんどは性交渉によって感染し、持続感染により子宮頸がんだけでなく、膣がん・陰茎がん・肛門がん・咽頭がんなどの悪性腫瘍や、男女の生殖器に生ずる尖圭コンジローマという良性腫瘍の発症リスクになります。
HPVと子宮頸がんの関係
子宮頸がんは子宮頚部という子宮の入り口に相当する部分に生ずる悪性腫瘍で、主要な原因としてHPV感染が挙げられます。
HPV感染を原因とする子宮頸がんはHPV 16型・18型によるものだけで子宮頸がん全体の60〜70%を占め、その割合は若年発症のものほど高くなり、20代発症の子宮頸がんでは実に90%を占めます。
HPV関連の子宮頸がんの特徴として感染から発症までが比較的早いことが挙げられます。現在の発症年齢のピークは30代後半であり、妊娠可能時期と重なっていることに留意が必要です。
HPVワクチンの接種状況
日本の接種率は非常に低いです
HPVワクチンは欧米では2006年から、日本では2009年から使われるようになりました。
WHOは接種を推奨しており、2019年の接種率はフランスで約30%、ドイツで約40%、アメリカ・イタリアで約50%、カナダ・イギリス・オーストラリアで約80%です。なお、同年の日本では1.9%(3回完了)でした。
HPVワクチンと子宮頸がん
世界的には接種の普及に伴って前癌病変や子宮頸がんの発症低下が報告されています
子宮頸がんは正常の組織から前癌病変という組織学的異常を経て子宮頸がんに至ります。
HPVワクチン被接種者群において前癌病変の発生率の低下が世界的に報告されており、一部の国からは子宮頸がんの発生率の低下も報告され始めています。
国内でもHPV 16型・18型の感染率の低下、前癌病変の発生の低下が報告されており、今後HPVワクチンの普及に伴い子宮頸がんの発生率が低下することが予想されます。
HPVワクチンの安全性
病状によって適切なものを選びます
2022年、情報収集の結果妥当な安全性が確認されたため、厚生労働省は2013年からの積極的勧奨の差し控えを取り下げました。
以下は日本産婦人科学会の資料中の安全性に関する抜粋です。