兵庫県感染症情報センターからリリースされている週報から芦屋市・西宮市・神戸市の情報をピックアップして集計したものを若干のコメントをつけて配信しています。
- COVID-19:依然として高水準ですが、前週(226件)から16件減少し210件となりました。
- 百日咳:高水準での推移が続いています。全年齢で報告がありますが、特に小児例が目立ちます。
- 手足口病:先週比ほぼ横ばいで高水準。流行の長期化がみられます。
- ヘルパンギーナ:夏季流行のピークを過ぎつつも、依然として高い水準で推移しています。
- 咽頭結膜熱:先週から横ばい〜やや減少ですが、まだ多い状況です。
- 伝染性紅斑:先週比でやや減少しましたが、高水準を維持しています。妊婦への影響にも留意が必要です。
- A群溶連菌咽頭炎:高水準を維持していますが、6月下旬〜7月中旬のピーク期よりは低めで推移しています(直近2週は44件で横ばい)。
- インフルエンザ:報告数は少ないながら、やや増加傾向がみられます。
COVID-19
クリニック診療では風邪程度の症状が多いものの、インフルエンザと同程度の辛さを訴える方も珍しくなく、一部で肺炎にまで至っています。
最近は「のどの痛み」が目立つ方が多いように思われます。
動向
- 先週226件だったCOVID-19は、今週210件となり前週比16件減少しました。
- 高水準は続いていますが、今週は減少傾向でした。
- 市内全域で幅広い年齢層に報告が見られ、引き続き注意が必要です。
ご家庭で気をつけたいこと
- 発熱や咽頭痛、咳などの症状があれば無理をせず休養をとり、外出や登園・登校は控えてください。
- 家庭内での感染拡大を防ぐため、症状がある方はマスクの着用と換気を心がけましょう。
- 高齢者や基礎疾患のある方との接触には特に注意が必要です。
臨床的特徴と受診の目安
- 潜伏期は平均2〜3日程度で、最長は7日程度とされています。発熱、咽頭痛、咳、倦怠感などが出現します。
- 高齢者、基礎疾患のある方、妊婦は重症化リスクが高く、早めの受診が望まれます。
- 呼吸苦、SpO₂低下、強い倦怠感などがある場合は速やかに医療機関へ。
百日咳
百日咳は、長引くから咳を特徴とし、2025年に現在進行系で大流行をきたしている呼吸器感染症です。
兵庫県は47都道府県中で第12位の報告数と、憂慮すべき状況が続いています(「兵庫県の百日せき 感染状況|NHK 」)。
なお現在、百日咳の発症早期の検査として最も有用と考えられるDNA検査(LAMP法)は、検査実施5日ほどで結果が判明します。
動向
- 最新週(8/14)は40件で、前週(8/7)の58件から減少しましたが、依然として高水準が続いています。
- 小児を中心に、成人例の報告も見られ、家庭内感染の可能性にも注意が必要です。
ご家庭で気をつけたいこと
- 初期はかぜ様症状で始まり、その後発作性の咳が数週間続くことがあります。
- 特に乳児では無呼吸発作や肺炎などの合併症に注意が必要です。
- 咳が長引く場合や、乳児に接する機会がある方は早めの医療機関受診が望まれます。
臨床的特徴と受診の目安
- 初期は風邪に似た症状で始まり、数日後から特徴的な連続的な咳(咳発作)が出現します。
- 乳児では無呼吸・チアノーゼなどの危険な経過をたどることがあるため、特に0歳児がいる家庭では注意深い観察と早期受診が重要です。
- ワクチン未接種や接種から年数が経過している学童・成人も、再感染の可能性があります。
特に、以下に該当する場合は積極的に受診を御検討下さい。
手足口病
手足口病は、手のひら・足の裏の皮疹と口内炎をを呈する夏季に流行しやすい夏風邪の一つです。
動向
- 最新週(8/14)は25件で、前週(8/7)の43件から減少しました。
- 流行のピークは過ぎ、報告数は減少傾向ですが、依然として一定の発生が続いています。
- 乳幼児を中心に報告されており、集団生活施設などでの散発的な発生に注意が必要です。
ご家庭で気をつけたいこと
- 発症後1週間程度は感染力が強く、回復後もしばらく便中にウイルスが排泄されます。
- 排便後やおむつ交換後は石けんと流水での手洗いを徹底しましょう。
- 発熱や口内の痛みによる水分摂取不足に注意してください。
臨床的特徴と受診の目安
- 潜伏期は3〜5日程度で、発熱、手のひら・足の裏・口腔内の発疹が特徴です。
- 口内痛で飲水量が減少し、脱水に陥ることがあります。
- 水分が取れない、ぐったりしている、呼吸が速いなどの症状があれば早めの受診を。
ヘルパンギーナ
ヘルパンギーナは、比較的強い口内炎・咽頭痛を呈する、手足口病の類縁疾患とも言える夏季に流行しやすい夏風邪の一つです。
動向
- 最新週(8/14)は48件で、前週(8/7)の59件から減少しました。
- 夏季流行のピークは過ぎ、減少傾向にありますが、依然として小児を中心に報告が続いています。
- 園や学校など集団生活の場での感染拡大に注意が必要です。
ご家庭で気をつけたいこと
- 発熱や咽頭痛が主症状で、口腔内に水疱や潰瘍が出現することがあります。
- 症状により水分摂取が困難になる場合があり、脱水症に注意してください。
- 登園・登校の再開は解熱し、食欲や全身状態が回復してからにしましょう。
臨床的特徴と受診の目安
- 潜伏期は3〜5日程度。発症時は38〜40℃の高熱と口腔内の発疹が特徴的です。
- 通常は数日で解熱しますが、まれに髄膜炎などの合併症を生じることがあります。
- 水分が取れない、高熱が続く、意識がもうろうといった症状がある場合は早めの受診を。
咽頭結膜熱(プール熱)
咽頭結膜熱は、咽頭痛・結膜炎の併発を特徴とするプール熱の名で知られる夏風邪の一つです。
動向
- 最新週(8/14)は23件で、前週(8/7)の28件から減少しました。
- 流行のピークは過ぎ、減少傾向にありますが、依然として一定数の報告が続いています。
- 小児を中心に、夏季プール活動や接触機会を介した感染の可能性があります。
ご家庭で気をつけたいこと
- 発熱、咽頭痛、結膜充血などの症状があれば登園・登校は控えましょう。
- タオルの共用を避け、手洗いを徹底してください。
- プール後はシャワーと洗眼で感染リスクを減らしましょう。
臨床的特徴と受診の目安
- 潜伏期は5〜7日程度で、発熱・咽頭痛・結膜炎を3主徴とします。
- 高熱が4〜5日続くことがあり、全身倦怠感を伴う場合があります。
- 視力低下や強い眼痛がある場合は速やかに眼科を受診してください。
伝染性紅斑(りんご病)
伝染性紅斑は、ほっぺたがりんごのように赤くなるのを特徴とする、りんご病の名で知られる感染症です。
動向
- 最新週(8/14)は57件で、前週(8/7)の66件から減少しました。
- 春以降は増加傾向が続き、高水準を維持しています。
- 小児を中心に報告がありますが、妊婦が感染すると胎児への影響が懸念されるため、引き続き注意が必要です。
ご家庭で気をつけたいこと
- 発疹が出る前から感染力があるため、流行時期には手洗い・咳エチケットを徹底しましょう。
- 特に妊婦や妊娠の可能性がある方は、流行期に感染者との接触を避けることが望ましいです。
- 園や学校での集団発生時は情報を共有し、早めの対応を心がけてください。
臨床的特徴と受診の目安
- 潜伏期は4〜14日程度。頬の紅斑と四肢のレース状発疹が特徴的です。
- 発疹が出た時点では感染力は低下しますが、関節痛や軽度の発熱を伴うことがあります。
- 妊婦や免疫不全者は、症状がなくても感染者との接触後は医療機関に相談してください。
妊婦さんへの感染では胎児への影響が懸念されるため、妊婦さんが感染するのは何としても防ぎたいところですが、伝染性紅斑がうつりやすいのは伝染性紅斑らしさが出る前の時期であるため、妊婦さんは十分な感染対策をなさって下さい
別名「りんご病」といい、風邪症状+赤いほっぺたを呈するウイルス感染症です。
5年程度の周期性の流行を認める傾向があり、前回の当地での流行はまさに2019年末〜2020年2月頃でした。
大半の方にとっては大きな問題とならないものですが、合併症に留意が必要な方々がおられます。
合併症
胎児水腫
妊婦の感染を経て胎児が感染すると、胎児の体内に液体貯留しやすくなる胎児水腫という合併症をきたして専門医による管理・治療を要することがあります。
妊婦さんはマスク着用などの感染対策を十分になさって下さい。
骨髄無形成発作
溶血性貧血患者が感染すると、重度の貧血や、赤血球以外の血球減少を伴う汎血球減少症をきたすことがあります。
感染対策
りんご病を特徴づけるのはほっぺたの赤みですが、この症状を呈する時期には既に感染源になる時期を過ぎており、りんご病患者がごく身近で発生してからの対策は後手になります。
肝要なのは生活圏での流行の把握となり、特に妊婦さんは登園中のお子さんがおられましたら登園先の発生状況の把握に努めるなどして、ご自身の生活圏で発生があれば速やかに十分な対策をして下さい。
具体的な対策は飛沫感染対策・接触感染対策となりますので、マスク着用・手洗い励行をお勧め致します。
溶連菌性咽頭炎
溶連菌性咽頭炎は、強い咽頭痛・高熱はあれど、咳が乏しいのが特徴的な、主にA群溶血性連鎖球菌による感染症です。
症状の強さもさることながら、合併症に留意が必要な点が日常的な感染症としては特徴的で、適切な対応を要します。
動向
- 最新週(8/14)は44件で、前週(8/7)と同数でした。
- 高水準を維持していますが、6月下旬〜7月中旬のピーク期と比べるとやや低めの水準で推移しています。
- 小児を中心に、家庭内や集団生活施設での感染に注意が必要です。
ご家庭で気をつけたいこと
- 発熱、咽頭痛、扁桃の腫れなどがある場合は登園・登校を控えましょう。
- 医師の指示に従って抗菌薬を最後まで内服し、再発や感染拡大を防ぎましょう。
- 家族内でのコップや食器の共用は避け、手洗いを徹底してください。
臨床的特徴と受診の目安
- 潜伏期は2〜5日程度で、急な発熱と咽頭痛が主症状です。
- 放置するとリウマチ熱や急性糸球体腎炎などの合併症を起こすことがあります。
- 高熱、嚥下困難、呼吸困難などがある場合は早めの受診が望まれます。
インフルエンザ
昨冬の流行期以降、消臭の発生報告が続いているインフルエンザですが、この数週間、わずかながら増加傾向とも取れる動向のため掲載しています。
動向
- 最新週(8/14)は22件で、前週(8/7)の2件から増加しました。
- 夏季としては珍しい報告数の増加であり、散発的な発生が見られます。
- 現時点では大規模流行には至っていませんが、集団生活施設や家族内での感染に注意が必要です。
ご家庭で気をつけたいこと
- 発症から5日間、かつ解熱後2日間は登園・登校を控える必要があります。
- マスク着用、手洗い、咳エチケットを徹底し、家族内感染を防ぎましょう。
- 高齢者や基礎疾患のある方は早期受診を検討してください。
臨床的特徴と受診の目安
- 潜伏期は1〜3日程度で、突然の高熱、頭痛、筋肉痛、全身倦怠感などを伴います。
- 小児ではけいれんや急性脳症、高齢者では肺炎などの合併症に注意が必要です。
- 発症後48時間以内であれば抗インフルエンザ薬の効果が期待できます。