症状

カゼといえばカゼですが、症状が強くつらい思いをさせられがちです

基本的にはカゼと同じですが、発熱・頭痛・関節痛・倦怠感といった症状が一般的なカゼより強く出がちです。
また一般的なカゼがのどの痛みや鼻水などで始まり徐々に症状が増えていくのに対して、インフルエンザは最初から「ドーン!」と種々の症状が出揃う傾向があります。

一方「かくれインフルエンザ」と表現されるように、一般的なカゼと同程度の症状しか示さない事もまれではありません。

合併症として高齢者や基礎疾患をお持ちの方を中心とした肺炎や、乳幼児を中心とした脳症が知られています。

ポイント
  • 突然の高熱(38.0℃以上)、頭痛、筋肉痛・関節痛で発症します
  • 鼻汁、咳嗽などの上気道炎症状が続きます
  • 1週間程度で軽快します

診断

発症直後の診断は慎重に

症状、身体所見、流行状況、インフルエンザ抗原迅速検査などから総合的に診断します。

迅速検査は「陽性」と判定された方はほぼインフルエンザですが、「陰性」と判定された場合に実はインフルエンザということが少なからずあります。特に発症後半日未満の「陰性」という検査結果の取り扱いには注意が必要です。

ポイント
  • 典型的なら検査せずに診断することもあります
  • 発症後半日未満の検査は丁寧に行う必要があります
🧐 もうちょっと詳しく

インフルエンザ抗原迅速検査は「陽性」か「陰性」と判定されます。ではこの判定はどの程度確かなのでしょうか?

18歳以下ですが、発熱+気道症状がある者を対象としたデータです。

参照:Dr.KID「 インフルエンザの迅速検査は発熱後24-48時間に!」

発熱後経過時間〜12時間 〜24時間〜48時間48時間〜
感度35%66%92%59%
特異度100%97%96%100%

このデータの場合、感度とはインフルエンザの人のうち迅速検査で陽性と判定された人の割合で、特異度とはインフルエンザではない人のうち迅速検査で陰性と判定された人の割合です。

例えば「〜12時間」でみると感度は35%ですから、インフルエンザ100人中35人しか陽性と判定されていません。「〜24時間」でも66%で100人中66人です。一方特異度は経過時間を問わず一貫して100%近くです。

ここから言えることは

* 陽性という検査結果の信頼性は経過時間を問わず高い
* 陰性という検査結果の信頼性は経過時間が短いと低い

ということになります。

職場や学校で発熱が出現して、帰りがけに受診された患者さんに「検査陰性でしたよ、インフルエンザじゃないですね〜!」と軽々に言ってはいけなさそうですね。

治療

治療の選択肢に抗ウイルス療法があります

治療は対症療法と抗ウイルス療法からなります。

* 対症療法…症状を緩和します
* 抗ウイルス療法…インフルエンザウイルスが増えるのを妨害します

抗ウイルス療法としてタミフルが有名ですが、服用の最大のメリットは発熱期間の短縮です。したがって症状が軽微な場合は服用の有無による差がつきにくいかもしれません。また、ウイルスの増殖を抑制するものなので、感染初期、具体的には発症後48時間までに服用を開始するべきとされています。

ポイント
  • 抗ウイルス療法は発症後48時間以内に始めます
🧐 異常行動について

かつて10代においてタミフル服用後の異常行動が報告され、厚労省から10代に対するタミフル等の処方差し控えの通達が出されました。

その後の調査・研究で抗インフルエンザ薬と異常行動の関連を支持する結果は得られず、現在は処方差し控えの方針は撤廃されています。

この話の最も大事な点はタミフル等を服用していなくても、インフルエンザで命に関わる異常行動をきたすことがあるという点につきます。実際お子様のインフルエンザ診療を行っていると、親御さんから異常行動自体の報告を受けることがたまにあります。

リスクは

* 10代
* 発症後48時間以内

ですので10代でインフルエンザと診断された場合、発症から2日間ほどは転落事故などの可能性に備えた看病をお願い致します。

予防

ワクチンには一定の予防効果があります

インフルエンザにかかるとインフルエンザウイルスに対する抗体が産生されはじめ、産生された抗体がウイルスを鎮圧して治癒に向かいます。インフルエンザワクチンはインフルエンザの「部品」を接種することであらかじめ抗体産生しておき、いざ本当に感染した時に早期に鎮圧に向かうという医療技術です。

ワクチン接種すると被接種者のリスクが低減するのはもちろん、周りの非接種者のリスクも低減します。 自分のためにはもちろん、周りの人のためにもなります。

ただし被接種者がインフルエンザにかからなくなるのがベストですが、抗体産生能力に年齢差や個体差があるなど様々な要因から得られる効果は一定ではありません。しかし様々なデータが発症リスク、重症化リスク、死亡リスクを低減することを示しています。

ポイント
  • ワクチン接種はあらかじめ抗体を作っておき、インフルエンザウイルスが実際に侵入してくるのに備えることです