最初にまとめ
- アタマジラミというシラミによる寄生虫症で、主に年少の小児に集団発生して頭部に強いかゆみを来します
- 頭頂部・耳の後ろ・えりあしなどで、頭髪に産み付けられた卵を認めることで診断につながります
- 治療は処方薬ではなく、市販されているピレスロイド系殺虫剤のパウダー剤やシャンプー剤を使用します
感染
- 頭同士の接触や、枕・布団・シーツ・タオルの共有などでうつります。
こういった感染様式もあり、小学校低学年程度までの若年者で発生しやすく、幼稚園・保育園・家庭内などで局所的な流行を認めます。
うつってきたアタマジラミは100個/月のペースで毛髪に産卵し、虫卵は約1週間で孵化します。
主な自覚症状である頭の痒みは、感染から3〜4週間たってアタマジラミの数がある程度になってからと言われています。
アタマジラミには戦後など過去に多かったイメージがあるかもしれませんが、現在でも先進国・開発途上国を問わず世界規模で蔓延しています。
ポイント
- 感染経路は頭部の直接的な接触、寝具・タオル・枕の共用など
- 年少児に多い
- 幼稚園・保育園などで集団発生する傾向
症状
- アタマジラミは頭皮から吸血しますが、これに伴って痒みが生ずると考えられています。
感染当初はその数が少ないため痒みは感じにくく、数が増えるに従って痒みが増して、場合によっては睡眠障害などの精神的な負担になるほどまでになります。
かき壊したところが化膿することがあります。
ポイント
- 頭皮のかゆみ(時に激しいかゆみになります)
- かき壊した結果生ずる表在性皮膚感染症
診断
- 虫卵は0.5mm程度と小さく、虫卵が少ない初期はていねいに探す必要があります。
えりあし・耳の後ろから頭頂部にかけて丁寧に観察しましょう。
しばしば毛髪に付着した角質が誤認されます。
ペン先などで動くかどうか確認しましょう。容易に動くなら虫卵の可能性は低いです。
ポイント
- 頭髪に産み付けられた虫卵
- 頭頂部・耳の後ろ・えりあしなどに認める傾向があります
治療
- 成虫・幼虫の駆除と、これから孵化してくる幼虫の駆除を図ります。
上述の通り約1週間で孵化するので、10日間を目処に下記①〜③の対策を連日行います。
④の薬剤療法は必ずしも要しませんが、する場合は①〜③同様に10日間ほど続けましょう。
①クシがけ
- 目の細かい「すきぐし」で虫卵・成虫・幼虫を除去します。
頭髪の根本近くからすきましょう。
落下物を適切に処理する必要があるので洗髪共々浴室で行うのがお勧めです。
②洗髪
- 成虫・幼虫は適切な洗髪で駆除できます。
大人が洗髪しましょう。
③寝具・衣類の高温処理・洗濯
- 寝具や衣類に付着している成虫・幼虫・虫卵には熱湯処理が有効です。
- 55℃以上
- 10分間
- 上記条件下で浸漬した後に洗濯します。
④薬剤療法
- 必ずしも薬剤療法を要するわけではありません。
フェノトリンが有効ですが、処方薬は本症には適応がありません。
市販の「スミスリン®シャンプー」は使い勝手が良好です。
処方薬ではなく、ドラッグストアやオンラインで入手します。